陶磁置物の定番「獅子」をアップデート
マッチング意図
中村弘峰は博多人形師の家の四代目に生まれ、日本の人形文化に向き合ってきた。伝統を重んじつつ、これまでの様式にとらわれない、現代的な人形のあり方を探求する作家である。今回は九谷焼の鋳込み専門の窯元である木田製陶所とのコラボレーションによって、かつて置物の定番であった獅子をモチーフにした香炉を提案する。木田製陶所は、九谷焼の置物の産地である石川県小松市の八幡地域を拠点に、この地で四代続く。鋳込みの技術によって縁起物や干支の置物などを生産しており、近年はデジタル技術も取り入れてその技術や様式の継承に取り組んでいる。
中村弘峰
1986年福岡県生まれ、同地在住。2011年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了後、父の中村信喬に師事。家業である「中村人形」の四代目として伝統を重んじつつ現代性を取り入れた作品を手がけている。個展に2019年「SUMMER SPIRITS」(POLA MUSEUM ANNEX)。受賞歴に2017金沢・世界工芸コンペティション優秀賞などがある。
中村弘峰
《ダルメシアンに青籠球》 2018
陶、顔料、木|陶の素焼きに彩色 H28×W34×D34 cm
Courtesy of the artist
九谷窯元 木田製陶
1935年開窯。九谷焼の置物産地の八幡エリアにて、干支・獅子等の縁起物や香炉等の蓋物など精微を極めた造形技術を代々伝統工芸士として継承し、高い評価を得ている。原型から素地まで一貫して手作りで製造。デザイナーやブランドとのコラボレーションなど、幅広い実績と妥協を許さない高い技術力がある。四代木田立は、新しい時代に向けて難易度の高い素地づくりを通じた技術研鑽、デジタル技術の取り込みにも積極的である。
木田製陶