花坂陶石の器
マッチング意図
「花坂陶石」本来の風合いを生かした粘土づくりを谷口製土所が担い、日本を代表するデザイナーの一人である原研哉が器のデザインをする。原はデザインを「本質を見極めて、可視化する」活動と捉えている。原が花坂陶石をどのように解釈して扱い、また谷口製土所が原のアイデアや要望にどのように応えていくかが見どころ。花坂陶石は九谷焼の素地となる磁器粘土の原料であり、独特の特性をもつ。花坂陶石から水簸のみで精製された粘土には鉄などの鉱物が含まれるため成形が難しく、焼成すると薄いグレーの色調となり、黒点も現れる。通常の九谷焼ではこうした花坂陶石の素材の癖を調整し、白色の磁土をつくるが、今回はこの特徴を活かし、色調や質感にこだわった器のデザインに挑む。
原研哉
1958年生まれ。東京都在住。デザイナー。日本デザインセンター代表。武蔵野美術大学教授。デザインを社会に蓄えられた普遍的な知恵ととらえ、コミュニケーションを基軸とした多様なデザイン計画の立案と実践を行っている。無印良品アートディレクション、代官山蔦屋書店VI、GINZA SIX VI、外務省「JAPAN HOUSE」では総合プロデューサーを務めるなど活動の領域は多岐。著書『デザインのデザイン』、『白』、『白百』、『日本のデザイン』は多言語に翻訳されている。
ピエール・エルメ・パリ「イスパハン」パッケージ
2014年
AD: 原研哉
D: 原研哉, 三澤遥
Pr: 森田瑞穂
Cl: PIERRE HERMÉ PARIS
Photo: Sekiguchi Takashi
Courtesy of Nippon Design Center, Inc.
谷口製土所
1915年谷口岩松が「花坂陶石」の採石場を開発。焼き物の原料として県内外へと出荷し、それまでの農業に代わり町の一大産業へと押し上げる。谷口製土所としての創業は1951年。以来、70年「花坂陶石」を主とした九谷磁器土の製造を続け、産地の窯元や作家の下支えを行ってきた。近年では、職人の高い技術と土の特徴を生かした九谷焼ブランド「HANASAKA roots of kutani」を展開している。
花坂陶石