ヨーロッパの日常の器
マッチング意図
ブライアン・ケネディはコンテンポラリークラフトの分野で国際的に活躍するロンドン在住のキュレーターであり、日々の暮らしへのこだわりから工芸を考えている。見識はアート的な工芸からデザイン的な工芸までと幅広く、今の時代の工芸の在り方を総合的に研究している。今回は、ケネディ自身が英国での毎日の暮らしで使っているプレートやボウル、カップから着想を得て、テーブルウェアセットをディレクションする。相手は、陶芸作家の中田雅巳である。構成的なデザインが特徴で伝統九谷の文様をミニマルなデザインへ変換する。線刻に色化粧土が施された器である。器作りから加飾まで、どの工程にもこだわる中田の器を好事家としてのケネディがどのようなテーブルウェアに仕上げるかが見どころである。
ブライアン・ケネディ
1958年アイルランド、ダブリン生まれ。主にクラフトと応用芸術の分野で活動するインディペンデント・キュレーター。2002年から2010年の間ダブリン、ロンドン、ニューヨーク、シカゴで開催されたアイルランド・クラフツ・カウンシルの主要な展覧会シリーズを企画。2012年ロンドンでサマセットハウスとロイヤルアカデミーでの展覧会を企画。2015年からテイストコンテンポラリーアートジェノバ、アートモンテカルロ、ミラートミランを企画。2016年スイス・バーゼルのTRESOR現代クラフトフェアのアーティスティック・ディレクターを務めた。2021年にはロンドンハウスの5フロアに渡って70人のアーティストの作品を紹介する「Crafting a Difference」を立ち上げた。
「Crafting a Difference」展示風景
(SoShiro、ロンドン、2021年)
企画:ブライアン・ケネディ
Photo: Robert Chadwick
中田雅巳
1977年石川県生まれ、同地在住。 陶芸家。1997年石川県立九谷焼技術研修所卒業。2007、2009年金沢市工芸展 金沢市長最優秀賞、2014年ドイツの「Meister der Moderne」Bavarian States Prize賞、2017年「菊池ビエンナーレ」奨励賞などを受賞。参加した展覧会に2014年「現代・陶芸現象」(茨城県陶芸美術館)、2021年「近代工芸と茶の湯のうつわ―四季のしつらい―」(国立工芸館)などがある。国内外にて積極的に作品を発表している。
中田雅巳《SEN》2014
磁器|ろくろ、掻き落とし、象嵌
Courtesy of A Lighthouse called Kanata